エアコンセンターACの業務用エアコンコラム
GWP(地球温暖化係数)とは?業務用エアコンの指定製品制度を解説
業務用エアコンのカタログや見積書に「R32」「GWP675」といった表記を見かけて、「これは何を表す数字なんだろう」と思われたことはございませんか?
この記事では、GWPの意味から、業務用エアコンで使われる冷媒ごとの数値、そして機器の入替や設置に関わる規制についてまでを、順番に整理して解説します。
1.GWP(地球温暖化係数)とは?
GWPとは、Global Warming Potential(=地球温暖化係数)の略で、ある物質が地球温暖化に及ぼす影響を、二酸化炭素(CO2)を1としたときの比で表した数値です。
たとえば、業務用エアコンに使用されている冷媒ガス「R32」はGWPが675です。これは、R32が1kg大気中に排出された場合、CO2を675kg排出したことと同等に扱われる、という意味になります。
冷媒ガスをはじめとする温室効果ガスは、種類ごとに影響の強さがまったく異なります。そこで、CO2という共通の物差しに換算して比べられるようにしたものが、GWPという指標です。なお通常は、100年間の影響を基準とした値が使われます。
1-1.GWPが高い物質の特徴
GWPの数値は、おおまかに次の2つの性質で決まります。
ひとつは、地表から放出される熱(赤外線)をどれだけ吸収するかです。吸収する力が強い物質ほど、大気中にとどまった熱を逃がしにくくなります。もうひとつは、大気中での寿命です。大気中で分解されにくく長く残る物質は、その間ずっと熱を吸収し続けます。GWPが「100年間の影響」を基準にしているのは、この寿命の長さを織り込んで比較するためです。
つまり、熱を吸収しやすく、かつ分解されにくい物質ほど、GWPは高くなります。
2.業務用エアコンの冷媒ガスとGWPの比較
それでは、業務用エアコンで使われてきた主な冷媒のGWPはどのように変化しているのか、並べて比較してみます。なお数値は参照する国際的な報告書によって多少異なるため、下表は目安としてご覧ください。
| 冷媒 | GWP | オゾン層破壊 | 主な時期・位置づけ |
|---|---|---|---|
| R22 | 約1,810 | あり | 2000年代前半までの主流。生産終了 |
| R410A | 約2,090 | なし | 2010年前後からの主流。順次切替 |
| R32 | 約675 | なし | 現在の主流 |
| CO2(参考) | 1 | なし | GWPの基準となる物質 |
冷媒ガスを比べてみると、GWPが単純に下がっているわけではないことが分かります。理由は、2回の切り替えが、それぞれ別の環境問題に対応したものだったためです。
2-1.R22からR410Aへ、R410AからR32へ切り替わった理由
1回目のR22からR410Aへの転換は、オゾン層対策でした。R22に含まれる塩素がオゾン層を破壊するために生産削減が始まり、その代替として塩素を含まずオゾン層を破壊しないR410Aが開発・普及しました。
2回目のR410AからR32への転換は、温暖化対策です。R32のGWPは675で、R410Aの2,090と比べて約3分の1に抑えることができました。
つまり、R22→R410Aはオゾン層のための転換、R410A→R32はGWP(地球温暖化係数)を下げるための転換、という整理になります。いずれも地球環境に配慮した方針転換です。
3.業務用エアコンのGWP規制はいつから?指定製品制度の目標年度
業務用エアコンのGWPには、機器の区分ごとに目標値と目標年度が設定されています。フロン排出抑制法に基づいた「指定製品制度」と呼ばれる仕組みで、メーカーが出荷する製品の環境影響度を目標値以下にしていくものです。
| 機器区分 | 目標GWP | 目標年度 |
|---|---|---|
| 家庭用エアコン | 750 | 2018年度 |
| 店舗・事務所用エアコン | 750 | 2025年度 |
| ビル用マルチエアコン(冷暖同時運転型・寒冷地用等を除く) | 750 | 2025年度 |
| ビル用マルチエアコン(冷暖同時運転型・寒冷地用等) | 750 | 2027年度 |
| 設備用エアコン・GHPエアコン(電算機用・中温用等を除く) | 750 | 2027年度 |
| 設備用エアコン・GHPエアコン(電算機用・中温用等) | 750 | 2029年度 |
※ビル用マルチエアコン・設備用エアコン・GHPエアコンは、いずれも新設および冷媒配管一式の更新を伴うものが対象です(既設の冷媒配管を流用する工事は含まれません)。
出典:一般社団法人 日本冷凍空調工業会「フロン排出抑制法の指定製品において環境影響度の目標値及び目標年度が定められたものの一覧表」/経済産業省「指定製品製造業者等に対する規制」
目標GWP750という水準は、GWP2,090のR410Aでは満たせず、GWP675のR32であれば満たせる線引きになっています。
3-1.2025年度が目標の製品
2025年度が目標年度になっているのは、店舗・事務所用エアコンとビル用マルチ(冷暖同時運転型・寒冷地用等を除く)です。
天井カセット形や壁掛形といった、一般的なパッケージエアコンは、すでに目標年度を迎えています。実際の市場では、新品の機種はほぼR32と考えて差し支えありません。
ビル用マルチも、同じく2025年度が目標年度でした。ただし対象は「新設および冷媒配管一式の更新を伴うもので、冷暖同時運転型や寒冷地用等を除く」ものに限られます。言いかえると、冷暖切換タイプで、配管も新しくする工事が先に対象になった、ということです。
3-2.2027年度以降が目標の製品
2027年度以降が目標年度になっているのは、ビル用マルチ(冷暖同時運転型・寒冷地用)、設備用エアコン、GHP(ガスヒートポンプ)エアコンです。
同じビル用マルチでも、冷暖同時運転型や寒冷地用は、目標年度が2027年度以降になっています。こちらも、R410AからR32への切り替えが順次進んでいきます。
設備用エアコンとGHPエアコンも同じ考え方です。新設および冷媒配管一式の更新を伴うものが2027年度、それ以外は2029年度という二段構えになっています。
なお指定製品制度はメーカーの出荷製品に対する目標であり、すでに使用中の機器の使用や修理が禁止されるものではありません。ただ、年数が経つほど同じ冷媒の機器や部品は手に入りにくくなるため、更新計画は早めに検討しておくと安心です。
4.業務用エアコンの入替でGWPを踏まえて確認したいこと
入替の検討時に押さえておきたいのは、次の2点です。
まず、既存機の冷媒種類です。室外機の銘板に「R22」「R410A」「R32」と記載があります。R22であれば、部品供給の面でも早めの更新を検討する時期にあたります。
もう1点は、更新コストと使える制度です。省エネ性能の高い機種への入替は電気代の低減につながる場合があり、電気代シミュレーションや工事費シミュレーションで概算を把握できます。また、自治体等の補助金が使えるケースもあります。
5.まとめ
業務用エアコンに使用されている冷媒ガスは消耗品ではなく、通常は機器の中を循環し続けるものです。問題になるのは、配管の劣化や施工不良、廃棄時の未回収などで大気に出てしまう場合です。
冷媒はR22からR410A、R410AからR32へと、環境負荷の小さいものへ移ってきました。環境にやさしい冷媒と省エネ性の高い機器で、快適な環境を保てるよう設備を整えていきたいですね。
業務用エアコンの冷媒や入替の時期でお困りの際は、ぜひお気軽にエアコンセンターACへお問合せください。
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