エアコンセンターACの業務用エアコンコラム
R32は安全に使える?業務用エアコン冷媒の微燃性(A2L)について
業務用エアコンの資料を読み進めていくと、冷媒の説明のなかに「微燃性」といった言葉が出てくることがあります。燃えると書かれていると、店舗や事務所に置いて大丈夫なのかと不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、R32が燃える可能性とはどの程度のものなのか、国際規格でどう位置づけられているのか、そして実際にどんな対策が取られているのかを、順を追って解説します。
1.業務用エアコンのR32は燃える可能性がある
R32は、一定の条件がそろった場合に燃焼する性質を持つ冷媒です。一方、R32の一世代前に主流だったR410Aは、燃焼性のない冷媒でした。この違いを並べると、次のようになります。
| 項目 | R410A | R32 |
|---|---|---|
| 燃焼性 | なし | あり(微燃性) |
| GWP(地球温暖化係数) | 約2,090 | 約675 |
| 現在の位置づけ | 順次切り替えが進む | 現在の主流 |
R410AからR32への転換は、温暖化への影響を大きく減らす代わりに、わずかな燃焼性を受け入れた選択だったという整理になります。GWPの数値でいえば、約2,090から約675へと3分の1程度まで下がりました。
冷媒の環境性能については、別記事で詳しく解説しています。
GWP(地球温暖化係数)とは?業務用エアコンの指定製品制度を解説
では、R32が実際に燃えるのはどのような場面でしょうか。燃焼が起こるのは、漏れた冷媒が空気と混ざり、なおかつその近くに火気や高温になる部分がある場合です。
通常の運転では、冷媒は密閉された配管の中を循環しており、空気に触れることはありません。仮に漏れたとしても、近くに着火源がなければ燃えることはありません。
2.R32は国際規格で微燃性(A2L)に分類される
冷媒の安全性は、国際規格(ISO 817)にもとづいて分類されています。R32はこのなかでA2Lという区分に位置づけられています。分類は、毒性を示すアルファベット(A・B)と、燃焼性を示す数字(1・2L・2・3)を組み合わせて表されます。業務用エアコンに使われている冷媒は、いずれも低い毒性を表すA区分に分類されています。
| 区分 | 燃焼性の程度 | 該当する冷媒の例 |
|---|---|---|
| A1 | 火炎が伝わらない | R22、R410A |
| A2L | 微燃性(燃焼速度が遅い) | R32 |
| A2 | 可燃性 | ― |
| A3 | 強燃性 | プロパン(R290)など |
注目したいのが、A2LがA1とA2の間に位置づけられている点です。燃焼性は「ある/なし」で二分されるのではなく、燃焼速度の違いまで含めて段階的に分けられています。つまりR32は、可燃性のある物質と同じ扱いをされているわけではなく、「ごく弱い」燃えやすさを持っていると評価されています。
3.業務用エアコンの施工で配慮されていること
A2Lに分類されるR32を扱う工事では、A1に分類されるR22、R410Aを扱う工事とは異なる手順や機材が必要になります。現場でとくに危険性が高いのが、溶接作業です。冷媒が大気中に放出されている状態で火花が付けば、燃焼する可能性が高まります。
このため施工では、次のような対応が必要になります。
・溶接の前に、冷媒を確実に回収する
・作業中は十分に換気する
・気密試験と真空引きを規定どおりに行い、漏れがないことを確認する
・A2L冷媒に対応した工具・計測器を使用する
逆にいえば、これらが守られていれば、施工時のリスクは管理できるということです。微燃性冷媒を扱う工事は、対応した知識と機材を備えた業者に依頼することが前提になります。
4.業務用エアコンで行われているR32の安全対策
燃焼を防ぐうえで重要になるのは、冷媒を漏らさないこと、そして漏れたときに早く気づくことです。この2点を押さえる対策が、点検と機器側の安全装置という形で用意されています。
4-1.定期的な点検で漏えいを早く見つける
業務用エアコンの管理者には、フロン排出抑制法にもとづく点検が義務づけられています。この点検は、冷媒の漏えいを早い段階で見つけ、大気中への放出を防ぐことを目的としたものです。
| 点検 | 内容 |
|---|---|
| 簡易点検 | すべての業務用エアコンが対象。目視を中心に定期的に確認する |
| 定期点検 | 一定規模以上の機器が対象。専門的な知見を持つ者が実施する |
日常の確認では、次のような点が手がかりになります。
・冷えが以前より弱くなっていないか
・配管の接続部に油のにじみがないか
・室外機から異音がしていないか
・熱交換器に不自然な霜が付いていないか
冷媒が減っているということは、どこかから漏れているサインです。補充を繰り返しても解決できないため、漏えい箇所を特定する必要があります。
4-2.機器側に組み込まれた安全装置
A2L冷媒に対応した機器には、漏えいを検知して被害を防ぐための機能が組み込まれている場合があります。
| 機能 | はたらき |
|---|---|
| 冷媒漏えい検知センサー | 室内機周辺の冷媒濃度の上昇を検知する |
| 安全遮断弁 | 冷媒回路を遮断し、漏れる量を最小限に抑える |
これらは「漏れないようにする」対策ではなく、「漏れたあとの被害を最小限にする」ための対策です。漏えいを検知して知らせ、それ以上流出させないという考え方で設計されています。搭載されている機能や仕様は機種によって異なるため、ご検討中の機種についてはカタログや仕様書でご確認ください。
5.まとめ
業務用エアコンの冷媒ガスR32が微燃性であることは事実です。しかし、性質を正しく理解し、それに合わせた施工と点検が行われていれば、安心してお使いいただけます。業務用エアコンのことでご不明な点があれば、ぜひお気軽にエアコンセンターACへお問合せください。
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